留学生のレア・エンベリのプランをサポートし、母国のバルカン半島に位置するセルビアでのTURNの実践を目指します。
少数民族セ―ケイのコミュニティに着目し、継承されている刺繍の文化を通して、地域の人と生活の営みに触れていくことを試みます。
レア・エンベリは、セ―ケイのコミュニティの刺繍の文化と、青森県の「南部菱刺し」に親和性を見出しました。そこで青森県での「南部菱刺し」の研修と、刺し子の文化にまつわるリサーチを行い、その伝統的技法と作法を携えて、セ―ケイのコミュニティと交流を展開します。
南部菱刺しの研修とリサーチでは、津軽地方の「こぎん刺し」との違いや、南部菱刺しならではの縫い方や文化的背景の特徴を学ぶほか、今日における伝統との向き合い方や、その継承の仕方、またそこに集まるコミュニティの姿に触れました。
研修先の「なんぶ民藝」が定期的に行う教室には、それぞれ異なる家庭環境や仕事をもつ様々な人が集います。針と糸を持って集まると、自然とおしゃべりで賑わう和やかな場が生まれています。
確かな菱刺し模様の確立から推して、起源は約200年前ともいわれている南部菱刺しは、生活の中から生まれた美しい刺繍であり、厳しい冬の中で生まれ育った手仕事でもあります。この伝統的な技法と文化に、その風土とともに出会いながら、そこに今集う人たちとの経験によって、セ―ケイの人々との交流と気付きがどのような広がりとなるのか期待しています。
留学生・アーティスト:レア・エンベリ(東京藝術大学 美術研究科 油画 修士課程2年 )
南部菱刺し研修期間:2025年3月2日~9日
セルビアでの活動期間:2025年4月~7月
※南部菱刺し:青森県南・太平洋側、南部地方につたわる刺し子の技法のひとつ。津軽地方で伝わる「こぎん刺し」は縦糸を奇数にひろう一方で、「南部菱刺し」は縦糸を偶数にひろう手法が特徴です。
かつては、小さい頃から母親や祖母から習い覚え、畑仕事の休憩や子守の時に模様を指し綴っていました。休み休み行う畑作の、息の短いきれぎれの暮らしや気質に沿います。南部刺しで彩られた新しい前掛けは、嫁入りの際や余所行きに身にまとい、古くなると労働着として使われていました。
菱刺しとは












