アーティストのレア・エンベリは、バルカン半島に位置する母国セルビアにてTURNの実践しています。
少数民族セーケイのコミュニティに着目し、継承されている刺繍の文化を通して、地域の人との交流やワークショップをスタートしました。

2025年3月に、青森県での刺し子に係るリサーチや、八戸の「南部菱刺し」の経験を携え、セ―ケイのコミュニティに伝承されている刺繍の文化を学びながら交流を行います。

今夏、南部菱刺しを中心にワークショップを行いました。南部菱刺しの説明のほか、継承されているセ―ケイの刺繍技法の背景と歴史についても学ぶことを通して、それぞれの共通点や違いについても理解を深めました。そしてこれらの伝統的な文化についての意見交換を行い、麻布や異なる色の刺繍糸を用いながら参加者一人ひとり創作に向き合いました。
今後もセ―ケイのコミュニティとの関係性を深めていくことを試み、交流の時間やワークショップの実践を重ねていきます。

セルビアでの活動期間:2025年4月~
交流先:タマーシ・アーロン・セーケイ=ハンガリー文化協会

第1回ワークショップ:2025年7月1日
会場:タマーシ・アーロン・セーケイ=ハンガリー文化協会

***レア・エンベリによる日誌(一部抜粋)***

カラフルなリネン生地はセルビアではほとんど入手できず、刺繍用途では使用されていないことが分かりました。セーケイ刺繍もセルビアの伝統刺繍も、白または生成りのコットン生地で行われるのが一般的です。

しかし、このような伝統的な生地は視力が弱い高齢者や初心者には難易度が高く、細かい織りが心理的なハードルにもなり得ると感じました。そこで、今回はあえて完全に伝統的な素材にはこだわらず、異なる織り密度のさまざまな生地を用意し、参加者が自分に合ったものを選べるようにしました。

この柔軟な対応により、刺繍未経験の方や、参加をためらっていた方々にも取り組みやすい雰囲気を作ることができたと感じています。


今回のワークショップは、私にとって新しい経験の連続でした。準備、運営、そして自分の文化ではないものを丁寧に伝えるという責任感の中で、多くの感情も伴いました。それでも、最終的には成功だったと自信を持って言えます。


知識を慎重かつ丁寧に共有することを心がけ、青森で出会った方々のことも紹介しました。参加者の皆さんにとっては、この人々との出会いの物語が一番印象深かったようです。